
産後、下着のラインやVラインに沿って色が濃くなった気がする。
授乳やおむつ替えでバタバタしているうちに、いつのまにか前と違って見える。
誰にも聞けないまま、子どもを寝かしつけたあとの夜に、ひとりでスマホを開いている方も多いのではないでしょうか。
同じ悩みを抱えている産後の方は、実はとてもたくさんいます。
あなただけではありません。
この記事では、産後にデリケートゾーンの色が濃くなるしくみと、今日から見直せるケアの手順、そしてセルフケアでできること・できないことの線引きまでを整理しました。
まずは「なぜ産後に濃くなるのか」を知るところから、一緒に見ていきましょう。
最初にお伝えしたいのは、産後にデリケートゾーンの色が濃くなるのは、多くの産後の身体に起きるごく自然な変化だということ。
妊娠から出産にかけては、ホルモンのはたらきで身体のあちこちのメラニン(=肌の色をつくる色素のこと)が増えます。
乳輪やわきの下、おなかの真ん中に縦の線が出るのと同じで、デリケートゾーンの色が濃くなるのもそのひとつなんですよね。
そもそもデリケートゾーンは、身体のほかの部分より色素が集まりやすい場所。
生まれつきの色にも個人差があり、「本来は薄い色であるべき」というものでもありません。
つまり、産後に色が濃いこと自体は異常ではありません。
ただ、原因が分かれば、これ以上こすれや乾燥の刺激を重ねないための工夫はできます。
肌の乾燥が気になるときは、デリケートゾーン向けに設計された保湿用のジェルやクリームを使う方法もあります。
まずは、産後に色が濃く見える原因を4つに分けて見ていきますね。
原因はひとつではなく、いくつかが重なっていることがほとんどです。
産後は特に条件が集まりやすい時期なので、自分に当てはまるものを確かめながら読んでみてくださいね。
産後の色の変化に、いちばん大きく関わっているのがここです。
妊娠中は、ホルモンの変化によって皮膚のメラニンが増え、色が濃くなることがあります。
乳輪やおなかの正中線が濃くなるのと同じしくみで、デリケートゾーンにも同じことが起こります。
妊娠をきっかけに現れた頬の肝斑が、出産後に時間をかけてやわらいでいく傾向があることも知られています。
デリケートゾーンの色も、産後に少しずつ落ち着いていく方が多いです。
女性ホルモンとライフステージごとの身体の変化については、女性の健康推進室 ヘルスケアラボ(厚生労働省研究班)に、一般向けの解説がまとめられています。
ただし、どこまで元の状態に近づくかは人それぞれ。
「産後◯か月で必ずこうなる」と言えるものではありません。
意外と見落とされがちなのが、摩擦です。
皮膚は、同じ場所をくり返しこすられると、その刺激と軽い炎症をきっかけに色素が沈着していくことが知られています。
産後は、こすれる刺激が増えやすい時期。
抱っこや授乳で前かがみの姿勢が続いたり、体型が変わってサイズの合わなくなった下着を使い続けたり、骨盤ベルトやガードルが同じ場所に当たり続けたり。
こうした「毎日くり返される摩擦」が積み重なりやすいんです。
産褥期(=出産後、身体がもとの状態に戻っていくおよそ6〜8週間のこと)には、悪露(=出産後にしばらく続く分泌物のこと)のケアでナプキンをつける時間も長くなります。
ムレとこすれが重なりやすい期間だと知っておくだけでも、対策は立てやすくなります。
かゆみや赤みが出たあと、その部分だけ色が濃く残ることがあります。
傷や炎症のあとに色素が増えるもので、炎症後色素沈着(=かぶれや傷などの炎症がおさまったあとに、色素が残ること)と呼ばれる状態です。
産後は、次のようなことがきっかけになりやすいです。
かぶれ(=接触皮膚炎のこと)には、刺激そのものによって起こるものと、特定の成分へのアレルギーによって起こるものがあります。
何度もくり返している場合は、原因になっているものを探すこと自体が大切です。
産後は、ホルモンの変化や睡眠不足の影響で、肌が乾燥しやすいと感じる方が少なくありません。
デリケートゾーンの皮膚は薄く、刺激を受けやすい場所。
うるおいが不足すると、外からの刺激を受け止める力(=バリア機能)が弱まり、ちょっとしたこすれでも赤みやかゆみにつながりやすくなります。
その小さな炎症が、原因3で触れた色素沈着の入り口になっていく、という流れです。
乾燥そのものが色をつくるわけではありません。
ただ、刺激を受けやすい状態を長く続けないことが、結果として肌の負担を軽くします。
ここからが本題です。
やることは多くありません。
「刺激を減らす」「うるおいを保つ」の2つに集約されます。
産後の忙しい毎日でも続けられる形にしぼって紹介しますね。
まずは洗い方から。
順番はこうです。
回数は1日1回で十分です。
産後はにおいやムレが気になって何度も洗いたくなりますが、洗う回数を増やすほど刺激は重なっていきます。
洗うのは外側の皮膚まで。
内側にはもともと自浄作用(=身体が自分で清潔な状態を保つはたらきのこと)がそなわっているので、石けんで洗う必要はありません。
身体用のボディソープは洗浄力が強いものも多いため、デリケートゾーン専用のソープやウォッシュのように、この部分に合わせて設計されたアイテムを使うと刺激を抑えやすくなります。
次は保湿です。
タイミングが大事で、入浴後5分以内が目安。
粘膜そのものには塗らず、外側の皮膚にとどめてください。
保湿用のジェルやクリームをはじめて使うときは、腕の内側など別の場所で試してからにすると安心です。
産後はまとまった時間が取りにくいもの。
「お風呂あがりに1回だけ」でも、続けることのほうがずっと大切なんですよね。
毎日の積み重ねが効いてくるのが、この部分です。
自己処理は、細かな傷と炎症のきっかけになりやすいところ。
やめる必要はありませんが、やり方は見直せます。
逆に、色が気になるあまりやってしまいがちなことも挙げておきます。
赤みやかゆみが出ているときは、いったん保湿以外の手を止める。
これがいちばん大切です。
ここは正直にお伝えします。
セルフケアで減らせるのは、これからの刺激です。
摩擦を減らし、乾燥を防ぎ、かぶれをくり返さないようにすることで、肌の負担を軽くしていけます。
一方で、次のことはセルフケアの範囲ではありません。
化粧品は、皮膚を清浄にしたり、うるおいを与えて健やかに保つためのもの。
色を変えることを目的とした商品ではありません。
「使うだけで色が変わる」とうたう説明を見かけたら、その情報自体を一度疑ってみてくださいね。
時間の感覚も知っておくと、気持ちが楽になります。
皮膚が入れ替わるターンオーバー(=皮膚が生まれ変わるしくみのこと)には時間がかかるので、数日で見た目が変わるものではありません。
産後の変化は、身体の回復とともにゆっくり進んでいくものだと考えてください。
そのうえで、色の変化がどうしても気になる場合は、皮膚科や婦人科で相談できる選択肢もあります。
何ができるかは状態によって変わるので、まずは「相談してみる」でかまいません。
色の変化そのものは、多くの場合すぐに受診が必要なものではありません。
ただし、産後に次のような様子があるときは、一度みてもらってください。
行き先の目安は、かゆみやおりもの・悪露の変化をともなうなら婦人科、皮膚の見た目や色そのものが気になるなら皮膚科。
産後健診で通っている婦人科があれば、そのついでに相談してみるのも手です。
婦人科でどんなことを相談できるのかは、公益社団法人 日本産科婦人科学会 の一般の方向けの情報や、一般社団法人 日本女性医学学会 の情報も参考になります。
「こんなことで行っていいのかな」と迷う産後の方は本当に多いのですが、婦人科はまさにこうした相談を受けている場所。
「心配ないですよ」と言ってもらえるだけでも、ずいぶん気持ちが軽くなります。
妊娠中のホルモンの変化によって濃くなった部分は、出産後に時間をかけてやわらいでいく傾向があります。
ただし、どこまで変化するかは人によって違い、摩擦や乾燥の刺激が続いていれば残りやすくなります。
「必ず元に戻る」とは言えないのが正直なところ。
焦らず、刺激を減らす習慣を先に整えていきましょう。
外側の皮膚に保湿用のジェルやクリームを使うぶんには、授乳中でも取り入れやすいケアです。
ただし、粘膜には塗らず外側にとどめること、はじめて使うものは腕の内側などで試してからにすることを守ってください。
肌に合わないと感じたら中止し、心配なときは産後健診の婦人科で聞いてみると安心です。
明確な「解禁日」があるわけではありません。
悪露が落ち着き、会陰の傷の痛みがやわらいで、無理なく手が届くようになってからで十分です。
まずは洗い方を見直すところからで大丈夫。
傷あとや痛みが残っている時期は、こすらず洗うことだけを意識してくださいね。
妊娠や出産のたびにホルモンの変化がくり返されるため、色の変化を感じ方が回を重ねて強くなったように思う方もいます。
加えて、上の子の抱っこで摩擦の機会が増えることも重なりがちです。
原因が積み重なりやすい状況なので、自分を責めずに、刺激を減らす工夫から始めてみてください。
色の変化の多くは摩擦やホルモンによるもので、病気とは関係ありません。
ただし、短期間で急に濃くなった、しこりや出血をともなう、境界のはっきりした黒い点があるといった場合は別です。
自己判断せず、皮膚科や婦人科で確認してもらってください。
最後に要点を整理します。
誰にも聞けないまま抱えていた悩みでも、しくみが分かれば、やることはずいぶんシンプルになります。
産後の身体をいたわりながら、今夜のお風呂あがりから、ひとつだけ変えてみてくださいね。
※この記事は一般的な情報の提供を目的としたもので、診断や治療に代わるものではありません。
気になる症状がある場合は、医療機関にご相談ください。
参考