
くしゃみをしたとき、子どもを抱き上げたとき、思わず「あっ」と尿がもれてしまう。
産後、そんな経験をして戸惑っている方は少なくありません。
誰にも言えず、ひとりで気にしている方もいるかもしれませんね。
でも、産後の尿もれに悩んでいるのは、決してあなただけではないんです。
この記事では、産後に尿もれが起こる原因と、今日から始められるセルフケア、そして「病院に行ったほうがいいのかな」と迷ったときの受診の目安まで、やさしく整理してお伝えします。
まずは体のしくみを知るところから、一緒に見ていきましょう。
先に結論からお伝えすると、産後の尿もれは、出産を経験した体に起こりやすい自然な変化のひとつです。
くしゃみや咳、笑ったとき、子どもを抱き上げたときなど、おなかに力が入った瞬間にもれてしまう。
これは腹圧性尿失禁(=おなかに力が入ったときに尿がもれるタイプのこと)と呼ばれるもので、女性の尿失禁の中で最も多いタイプで、加齢や出産を契機にあらわれることがあります。
「私の体、どこかおかしくなってしまったのかな」と不安になるかもしれませんが、そうではありません。
妊娠と出産で、体を支える筋肉に大きな負担がかかった結果として起こるものなんですよね。
多くの方は、産後に体が回復していくなかで、少しずつ落ち着いていきます。
焦らず、まずは仕組みを知るところから始めていきましょう。
外出時や日中の不安をやわらげたいときには、吸水機能のついた吸水ショーツやインナーを取り入れる方法もあります。
もれを気にせず過ごせる時間が増えると、気持ちも少しラクになりますよ。
原因を知ると、「だから起きていたんだ」と少し安心できることがあります。
主な理由を3つに分けて見ていきましょう。
いちばん大きな理由が、骨盤底筋(=膀胱や子宮、腸などを下からハンモックのように支えている筋肉のこと)への負担です。
腹圧性尿失禁は、尿道を含む骨盤底の筋肉がゆるむために起こります。
妊娠中はおなかの中で赤ちゃんを支え続け、出産では産道を大きく広げるため、この筋肉に相当な力がかかります。
その結果、尿道を締める力が一時的に弱くなり、おなかに力が入ったときにもれやすくなる、というわけなんですね。
妊娠後期は、大きくなった子宮が膀胱を押している状態が続きます。
産後すぐは子宮がまだ完全には元の大きさに戻っていないため、その影響がしばらく残ることがあります。
体が回復していくにつれて、この圧迫はやわらいでいきます。
授乳期は、エストロゲン(=女性ホルモンのひとつ)が一時的に少ない状態になります。
この変化が、尿道まわりの組織のコンディションに関わることがあると考えられています。
こちらも、授乳が落ち着くにつれて変化していく部分です。
ここがこの記事でいちばんお伝えしたいところです。
特別な道具はいりません。
今日から、無理のない範囲で始めてみてくださいね。
なお、フェムケアそのものが初めてという方は、基本的な考え方をフェムケアとは?正しいやり方や注意点の解説記事でも紹介しています。
あわせて読んでみてください。
比較的症状が軽い場合には、骨盤底筋のトレーニングがすすめられています。
これは治療ではなく、ゆるんだ筋肉を意識して動かす運動として続けるものです。
やり方はシンプルです。
大切なのは、強くやることより「毎日こまめに続けること」です。
通勤中、家事のあいだ、子どもを寝かしつけたあとの布団の中など、日々の動作に結びつけると習慣にしやすいですよ。
続けるうちに、変化を感じる方もいます。
すぐに実感できなくても、焦らなくて大丈夫です。
猫背の姿勢が続くと、おなかに余計な圧がかかりやすくなります。
座るときも立つときも、背筋をすっと伸ばすことを意識してみましょう。
また、便秘で強くいきむことも骨盤底筋の負担になります。
水分と食物繊維をとって、お通じを整えておくこともセルフケアの一つです。
よかれと思ってやってしまいがちな、避けたいケアもあります。
吸水ショーツやパッドを長時間つけていると、どうしてもムレが気になることがありますよね。
外出先で肌をさっぱりと清潔に保ちたいときは、持ち運びしやすいシートやミストを使う方法もあります。
ここは正直にお伝えしたい大切な部分です。
骨盤底筋の運動は、軽い症状の方にはすすめられているケアですが、症状が重い場合には、トレーニングだけで完全に元の状態に戻すのは難しいこともあります。
また、吸水ショーツやシートは、あくまで「もれを吸収して、日常を快適に過ごすための道具」です。
尿もれそのものをなくすものではない、という点はおさえておきましょう。
ここから先は、セルフケアではなく医療の領域です。
産後しばらくたっても尿もれが続く、量が多い、といった場合は、体が「相談してほしい」とサインを出している状態かもしれません。
尿失禁は恥ずかしくて我慢している方がとても多いのですが、状態や原因に応じた治療法があります。
うまくいかない自分を責める必要は、まったくありません。
変化を感じる方もいれば、そうでない方もいます。
合わないと感じたら、次のステップとして医療機関を頼っていいんです。
次のような様子があるときは、一度医療機関で相談してみましょう。
相談先は、泌尿器科や婦人科です。
産後であれば、出産した産婦人科でまず聞いてみるのもよい方法です。
「こんなことで受診していいのかな」とためらう方も多いのですが、尿もれは体の相談ごととして、専門家に話していい内容です。
同じ悩みで受診している方はたくさんいます。
ひとりで抱え込まず、気軽に頼ってくださいね。
個人差が大きく、はっきり「いつまで」とは言えません。
多くの方は体の回復とともに少しずつ落ち着いていきますが、続く場合もあります。
産後数ヶ月たっても変化が感じられない、あるいは悪化していると感じるときは、医療機関で相談してみましょう。
骨盤底筋を意識して動かす運動は体に負荷をかけにくいものですが、産後の体調や傷の回復には個人差があります。
まずは体調が落ち着いてから、無理のない範囲で始めるのが安心です。
悪露や会陰の傷の状態が気になる場合は、産院に確認してから始めてくださいね。
役割が少し違います。
吸水ショーツは、尿の吸水を想定して作られたインナーです。
あくまで日常を快適に過ごすための吸水アイテムとして、用途に合わせて選ぶとよいでしょう。
出産の回数が重なったり、難産だったりすると、骨盤底筋への負担が積み重なることがあると考えられています。
気になる場合は、セルフケアを続けつつ、様子を見て医療機関に相談してみましょう。
最後に、この記事の要点を振り返っておきましょう。
尿もれは、あなたが悪いわけでも、恥ずかしいことでもありません。
正しく知って、できることから少しずつ整えていけば大丈夫です。
デリケートゾーンの毎日のケアについては、FemLife(フェムライフ)のトップページから、自分に合ったアイテムやほかの記事も探してみてくださいね。
※この記事は一般的な情報の提供を目的としたもので、診断や治療に代わるものではありません。
気になる症状がある場合は、医療機関にご相談ください。
参考